イナリヤツ湿地再生プロジェクト


「イナリヤツ湿地再生プロジェクト」について

プロジェクトの目的

ため池後背地特有の湿生植物群落の再生および保全・維持

  •  湿地は水と陸の接点であることから、 湿地特有の動植物を育くみ、生物多様性の上でとても重要な環境であると言われています。
  •   この里山における湿地環境の保全は、多様な環境を有する里山の保全を考える当会として、重要な項目の一つです。
  •  そこで,宍塚大池西側の池尻に続く約20aの通称「イナリヤツ」、「かかし田」などと呼ばれていた水田跡において、かつてのような、ため池後背地特有の湿生植物群落の再生および保全・維持をすすめます。

  池西湿地では、再生に向け、継続的に調査などを行っています。立ち入ったり、動植物を採集したりしないように、ご協力のほどお願いします。

見られる植物

  • 201212月のまとめでは210種となっていますが、
  • この中には、環境省や茨城県から絶滅危惧等に指定されている6種を始め、特に保全が必要な種も多くみられる一方、セイタカアワダチソウ、アメリカセンダングサなど植生を乱す外来種も多く、その対策はとにかく、人力です。
ジョウロウスゲ


ニッポンイヌノヒゲ

実施体制
  イナリヤツ湿地の保全・再生を目指すにあたって,有識者からなるアドバイザリーグループ、企業や学生サークルと協働して実際の管理や施工を担当する管理・実行部門、植生や環境のモニタリングを担当するモニタリンググループの3組織が有機的に連携する体制を整えて実施しています。

   アドバイザリーグループ(2010年現在)
氏 名
所 属
備 考
小幡 和男
茨城県自然博物館
 
 
田中 法生
国立科学博物館
筑波実験植物園
 
石井 潤
東京大学
農学生命科学研究科
 
門脇 正史
筑波大学
農林技術センター
 
森本 信生
農研機構
中央農業研究センター
宍塚の自然と歴史の会副理事長
嶺田 拓也
農研機構
農村工学研究所
事務局

  • 専門家のアドバイスをいただいても、湿地の保全・維持には、それだけでは足りません。とにかく、手がかかります。
  • はびこるセイタカアワダチソウ、アカメヤナギは根を残すと、そこからまた生えてきてしまうので手で抜いたり、水路を確保したり、土地の撹拌(かくはん)を行ったり、企業や学生など多くの皆さんに協力をいただいています。
  • すてきな谷津の風景や水生植物、鳥やトンボなどを眺め、時には、オタマジャクシとにらめっこしながらの手入れもいいものです。
湿地のウサギの糞のそばにはクズヒトヨタケ

興味のある方の連絡先

会事務局  Tel   080-4173-4411
                Mail shishituka#gmail.com(送信の際は#を@にしてください)
イナリヤツ湿地事務局       Mail add.     Yamanotanboybb.ne.jp
送信の際は#を@にしてください

活動記録

 耕作放棄された2008年(平成20年)頃から、植生調査などをおこなってきましたが、本格的には、2010年(平成22年)から活動を開始しました。
 活動記録や湿地の様子は、こちらのブログをご覧ください


イナリヤツ湿地の歴史


 地元の聞き取りでは、以下のようであったということです。

  • 『イナリヤツの奥で、昭和初期ころから青年会で田んぼを作っていた。』
  • 『もとは、池の一部だったので腰までもぐるほど深いところもあった。一反八畝ほどあり、十二~十三俵の収穫があった。届出のしていない、いわば隠し田である。ここでとれるお米は売ってお金にし、集落の行事や青年団活動の資金にした。また戦時中、米の供出が厳しかった頃には、収量の少なかった家の分の代わりに青年会の収穫分を使う(供出は部落単位で割り当てられていた)などして部落の足しにしていた。』
  • 『戦後、青年会の人数が減って青年会そのものの維持が難しくなったため、祇園祭りの当番にあたる班ごとに耕作するようになり、班を一巡する昭和二十九年頃まで耕作を続けた。』
(続 聞き書き 里山の暮らし P187

  • 『その後、池のほとりに住むミノワと呼ばれた人が耕作するようになった。更に、1998年頃から、その後、池のほとりの一軒家に住んだ人が作り続けた。』

○ その後の土地利用
   19982001 全体(5枚)の水田で水稲耕作
   20022005 池寄りの4枚の水田で耕作
   20062007 池寄りの2枚の水田のみ耕作
   2008~      耕作放棄

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