2017年12月19日火曜日

2017/12/19 第8回関係者会議

2017年度 イナリヤツ湿地再生検討会議 議事録

日時:2017年12月19日 19:00-21:00
場所:里山交流館
出席者:Oi、Oba、Matsu、Mine(順不同) オブザーバー:Tana

1.2017年度の調査結果報告(小幡)
・2017年は3回の調査で計145草種が確認された。
・D’以外の区域での初記載はアイノゲシ,アゼテンツキ,テリミノイヌホオズキ,ヒメアメリカアゼナ,マツバイ,ミドリヒメワラビ,ヤブツルアズキ,ヤマグワである。
・今年は春から夏にかけて小雨だったので,全体的に乾燥化が進行し,A,B区でもハハコグサなど乾生雑草の増加が見られた。
・採集分の同定からイヌホタルイとしたもののなかにはホタルイが,オオハリイとしたもののなかにはハリイが含まれていることがわかったが,調査時には区別が難しく発生量の把握ができないので,被度の記録ではそれぞれイヌホタルイ,オオハリイに含めることとする。
・今年の春にC区のアシカキ,E区のチゴザサを刈り取り・除去した結果,C区とE区でアシカキとチゴザサの最大被度が減少し,両区とも記録種数の回復が認められた。

2.今後の保全目標と管理方針の検討
・イナリヤツ湿地植生の保全目標を確認。目指す状態として,「冠水頻度の高い湿地からやや地下水位が低い半乾燥域まで,狭い区域で水分条件の異なる多様な環境に成立する植生の保全を目標とする。そのため指標の1つとしては種の多様性に着目する。しかし外来種,とくに新しく侵入してきたような草種や優占しやすい種は在来種であっても管理対象種として適宜駆除・除去するなど低密度管理を行う。また,これまで確認された草種のなかでとくに動態に着目する保全対象種として国,県の絶滅危惧種22種を挙げる。」とした。
・今年の秋から大池の水管理を「宍塚の会」が行うこととなり,現在は秋の長雨の影響もありほぼ満水の状態で維持されている。そのため,イナリヤツ湿地の一部(A,B区)で冠水状態が続いている。来年以降も,大池の水位維持につとめ,イナリヤツ湿地の地下水位を高い状態に保ち,とくにA~D区で乾生草種を減少させ,湿生草種の回復に努める。
・ジョイフル本田の環境助成を利用して,水位計を購入し,地下水位のモニタリングを開始する(12月下旬~,設置はA区の大池にちかい地点,購入台数が増えればC区,E区にも設置)。
・A,B区では水位を維持するとヨシ,ガマ,ウキヤガラの繁茂が予想されるため,5月末(第1回植生調査後)に刈り取り・持ち出しを実施。
・耕起に関しては,地下水位を高いままで維持するA~D区では今年は実施せず,チゴザサの優占度が高いE区のみ行う。Tana氏に2月末までに地上部植生の刈り取り・持ち出し,耕耘を依頼する。
・来年度も植生のモニタリングを5月,7月,9月の3回実施する。具体的な日程は以下。
 5月14日(月),7月9日(月),9月10日(月)8時30~ 

3.これまでの取組と調査結果のアウトプット方針
・現在,Obaさんが博物館報告にまとめている原稿に2017年のデータも加え,年度内に投稿(1月ごろ草稿を共有)。みなさんの協力をお願いします。